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2026.07.29

ダイカスト工場へ排水処理設備を導入する前に整理しておきたい4つのポイント


ダイカスト工場では、離型剤やクーラント、洗浄水などを使用する工程からさまざまな廃水が発生します。

これらの廃水には油分や金属成分などが含まれるため、そのまま下水への放流はできません。

また、排水基準への適合や産業廃棄物の処理コスト削減、管理負担の軽減といった観点からも、適切な排水処理が求められています。

しかし、排水処理設備には複数の方式があり、処理対象や運用方法によって特徴が異なります。そのため、自社の排水特性や運用体制に合った設備を選ぶことが大切です。

この記事では、ダイカスト工場で排水処理が必要とされる理由や廃水の特徴、設備選定時に確認したいポイントについて解説します。

ダイカスト工場の排水処理設備とその役割

ダイカスト工場の排水処理設備は、工場から発生する廃水を適切に処理し、法令で定められた基準を満たした状態で排水するための設備です。

まずは排水処理が必要とされる理由や関連する法規制、代表的な処理方法について見ていきましょう。

排水処理が必要とされる理由

ダイカスト工場で排水処理が必要な理由は、廃水に油分や化学成分などが含まれているためです。

たとえば、離型剤を使用した工程では油分を含む廃水が発生します。

また、設備の洗浄や冷却に使用した水にもさまざまな成分が混入する場合があります。

こうした廃水を未処理のまま放流すると、水質汚濁や下水設備への影響につながる可能性があるため、排水処理設備を利用して有害成分や不要な物質を除去しなければなりません。

さらに、排水処理によって廃水を減容化できれば、産業廃棄物として処分する量を抑えられる場合もあります。

環境対策だけでなく、運用コストの管理という面でも排水処理は欠かせない取り組みです。

排水基準と法規制の概要

ダイカスト工場の排水は、国が定める「水質汚濁防止法」や各自治体が独自に設けている上乗せ基準(条例)による厳しい法規制の対象です。

これらの法律は、工場から排出される水の汚れ具合を数値で制限しており、違反した場合には行政処分や刑事罰が科されます。

規制される主な項目には、水の濁りや有機物の量を示すCOD(化学的酸素要求量)やBOD(生物化学的酸素要求量)、そして「n-ヘキサン抽出物質」と呼ばれる油分の含有量などがあります。

自社の排水量が法的な規制対象(特定施設)に該当するかどうかを把握し、基準値を常に下回る管理を続けなければなりません。

排水処理設備の代表的な仕組み

排水処理設備には複数の方式があり、処理対象となる成分によって適した方法が異なります。

代表的な方法の一つが、薬剤を使用して汚濁物質を凝集・沈殿させる凝集沈殿処理です。

比較的広く利用されている方式であり、排水中の浮遊物質を分離する際に用いられます。

もう一つの代表的な方法が、特殊な膜を利用して処理水と汚濁成分を分離する膜処理方式(フィルター方式)です。

UF(限外ろ過)膜は微細な孔を持つ膜であり、油分やエマルジョン成分を含む排水の処理に活用されています。

また、設備によっては処理後の濃縮液を回収し、廃棄物の減容化を図る仕組みを備えているものもあります。

排水の性質や運用条件によって適した方式は異なるため、設備の導入時には処理対象や維持管理の方法を踏まえて比較検討するようにしましょう。

ダイカスト現場で発生する廃水の種類と含有成分

ダイカスト工場では、製造工程ごとに異なる性質の廃水が発生します。

代表的なものとして、離型剤廃水クーラント廃水型洗浄水などが挙げられます。

これらの廃水には油分や界面活性剤、金属成分などが含まれており、成分構成は一様ではありません。

そのため、排水処理設備を検討する際には、まず「自社で発生する廃水の種類や含有成分はどのようなものであるか」を把握してからになります。

離型剤廃水に含まれる油分・エマルジョンの特徴

離型剤廃水の最大の特徴は、水の中に多量の油分が微細な粒子として混ざり合い、安定した「エマルジョン(乳化)」状態を形成している点です。

ダイカストでは、高温の金型から製品をスムーズに取り出すために水溶性の離型剤が噴霧されますが、これが過剰に流出したものが離型剤廃水となります。

この廃水に含まれる油分は、水面へ自然に浮上してこないほど細かく分散しているため、単純な油水分離槽では取り除けません。

また、腐敗しやすく独特の悪臭を放つ性質もあるため、現場の衛生環境を維持する観点からも、エマルジョン状態を破壊して油分を確実に分離する技術が必要です。

クーラント廃水や型洗浄水など工程別の排水の違い

ダイカスト工場では、離型剤廃水以外にも、機械加工や仕上げ、メンテナンスの各工程から性質の異なる排水が発生します。

たとえば、鋳造された製品を削る工程で使用されるクーラント(切削液)の廃水です。

クーラントの廃水には高い濃度の油分に加え、微細な金属粉(切粉)が多量に含まれています。

一方、金型や製品の付着物を落とすための型洗浄水は、水質が強いアルカリ性に傾いています。

これは、頑固な油汚れを落とすために強アルカリ性の洗浄剤が使われるケースが多いためです。

このように、工程ごとに油分の濃度やpH(水素イオン指数)、含まれる固形物の種類が大きく異なるため、それぞれの排出量や特性に合わせた管理が欠かせません。

成分の複雑さが排水処理を難しくする理由

ダイカスト工場の排水処理が困難である理由は、前述したような性質の異なる複数の廃水が、一つの回収ピット(貯留槽)で混ざり合ってしまうためです。

離型剤、クーラント、洗浄剤、さらにはコンプレッサーから出るドレン水などが混ざると、水中の化学バランスが複雑に変化します。

このように複数の成分が混ざり合った状態では、従来の薬剤を使った凝集処理を行う際、薬の添加量の調整は簡単ではありません。

成分の比率が日によって変わると、昨日まではきれいに分離できていたのに、今日は処理水が白濁してしまうといったトラブルが発生します。

排水処理でよくある課題と管理上の問題

ダイカスト工場が排水処理を行う上では、水質の維持だけでなく、費用や人員の確保といった運用面において多くの課題が存在します。

ここでは、現場が直面しやすい「品質」「コスト」「管理体制」の3つの問題点についてみていきましょう。

油分除去と処理水品質の維持

排水処理における最大の技術的課題は、廃水に混入した微細な油分を完全に取り除き、放流可能な水質を常に維持することです。

ダイカスト廃水に含まれるエマルジョン(乳化)状態の油分は、水質や温度の変化によって薬剤の効き目が変わりやすく、少しでも調整を誤ると分離しきれなくなります。

油分が残ったままの処理水は白く濁り、そのまま放流すると「水質汚濁防止法」などの排水基準を満たせません。

特に日によって製造量や使用する離型剤の量が変わる現場では、処理水の品質を一定に保つための水質チェックや調整に多大な労力がかかります。

産業廃棄物処理コストの増加

排水処理では、処理後に発生する汚泥や濃縮廃液の処分費が継続的に発生します。

これらは産業廃棄物として適切に処理しなければならず、発生量が増えるほどコスト負担も大きくなります

特に処理対象となる廃水量が多い工場では、収集運搬費や処分費が経営コストに与える影響も小さくありません。

近年は廃棄物の処分費用自体が上昇傾向にあるため、排出される廃水の量やスラッジの量が多い工場ほど、ランニングコストが膨らみ続けるという問題もあるでしょう。

管理負担の増加と属人化

排水処理設備の運用で課題となることが多いのは、担当者の管理負担です。

薬剤の投入量調整や水質確認、設備点検などを日常的に行う必要があるため、手作業が多い設備では、担当者の経験や知識に依存しやすくなります。

その結果、運用ノウハウが特定の担当者に集中し、属人化につながるケースがあります。

担当者の異動や退職が発生した際には、引き継ぎや品質維持に時間を要することもあるでしょう。

しかし、設備が自動運転機能や監視機能を備えたものであれば、日常業務の負担軽減にもつながります。

そのため排水処理設備の選定では、管理のしやすさも確認したいポイントです。

ダイカスト排水処理設備を選ぶ際に見ておきたいポイント

自社に最適な排水処理設備を選ぶためには、初期費用だけでなく、導入後の運用までを考えた多角的な視点が必要です。

ここでは製品選定の段階で確認しておくべき、3つの具体的な評価基準を紹介します。

処理方式の違いを理解する

排水処理設備を選ぶ際は、前述した「薬剤処理」と「フィルター処理(膜処理)」といった処理方式の違い、そしてそれぞれのメリット・デメリットを、まずは理解しておきましょう。

自社の排水量や、含まれる成分の特性によって最適な方式は異なるためです。

従来の薬剤処理は初期費用を抑えやすい反面、日々の薬剤コストや水質調整の手間がかかります。

一方で、UF膜などを用いたフィルター処理は、薬剤レスで安定した水質を得やすいものの、定期的な膜の交換費用を考慮しなければなりません。

双方の特徴を比較し、自社の水質に適合する方式を選ぶ必要があります。

運用負担を軽減できるか確認する

排水処理設備は導入して終わりではありません。

薬剤管理水質確認設備点検などの業務が継続的に発生します。

運転条件の調整を頻繁に行う必要がある設備では、担当者の負担が大きくなります。

しかしその一方、自動運転機能や自動洗浄機能を備えた設備であれば、管理工数の削減が可能です。

また、設置スペースも確認しておきたい項目です。

工場内の限られたスペースに設置する場合は、設備の大きさやレイアウトも選定条件となります。

コスト削減効果を確認する

設備導入による産業廃棄物の削減効果が、どれだけランニングコストの低減につながるかを事前に計算しておきましょう。

排水処理設備の導入には相応の投資が必要となるため、長期的な視点での費用対効果の検証は必須です。

特に、廃水に含まれる水分を効率よく分離し、廃棄する成分だけを限界まで「濃縮減容」できる設備であれば、毎月の産廃処分量を大幅に減らせます。

削減できた産廃費用によって、何年で設備の初期投資を回収できるかもシミュレーションしてください。

排水処理設備の選定とダイカスト現場への導入相談

ダイカスト工場の排水処理は、環境保護と工場の安定操業を両立させるために避けては通れない重要な実務です。

適切な設備を選ぶためには、自社から出る廃水の正確な成分分析や日々の排出量の把握が必要不可欠となります。

水質改善や産廃コストの削減、管理負担の軽減など、現場が抱える課題はお客様の工場ごとに異なります。

真岐興業株式会社では、それぞれの現場の状況や排水量に合わせた、最適な排水処理設備の導入相談を承っています。

現在の排水管理に少しでもお悩みや見直したい点がある方は、ぜひお気軽に当社までご相談ください。

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