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2026.08.26

切削油の代用は可能? 知っておきたいリスクと注意点


切削油は、金属加工における工具や工作機械の状態を保つために使用される油剤です。

加工中に切削油が切れたり在庫がなくなったりすると、「手元にある別の液体で代用できないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、専用の切削油以外の液体を使用することには、加工精度の低下や機械の故障、刃物の劣化といった危険が伴います。

この記事では、切削油の代用が検討されがちな状況や身近な液体の例、代用することで生じる具体的なリスクなどについて解説します。

切削油の代用を検討する場面と代表的な液体

まずは、どのような場面で切削油の代用を検討するのか、そしてどのような液体が代用品とされるのかについてみていきましょう。

なお、切削油の基本的な役割や種類については、「切削油の基礎知識と加工品質を安定させる選び方」で詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。

液切れや在庫切れ

作業中に切削油の代用を検討する最大の理由は、加工中の突然の液切れ発注漏れによる在庫不足です。

金属加工を中断すると納期の遅れに直結するため、現場では作業を止めないことを最優先にしがちです。

「少しの間だけなら問題ないだろう」という判断から、手元にある別の液体の利用を考えてしまいます。

特に、休日や夜間の作業、発注先からの納品が間に合わないタイミングでは、こうした事態が起こりやすくなるでしょう。

代用品となりやすい身近な液体

代用品として名前が挙がりやすいのは、工場内や一般家庭に常備されている水や身近な油類、洗剤などです。

具体的には、以下のような液体が候補にされるケースが見られます。

  • 水(水道水):冷却効果だけを期待して使用される
  • マシン油・エンジン油:粘度があり油分を含むため潤滑目的で選ばれる
  • サラダ油・食用油:身近で手に入りやすく、加工の油分補給として試される
  • 防錆潤滑スプレー(WD-40やCRC556など):手元に常備されており、吹き付けやすいため一時的に使われる
  • 洗剤・台所用中性洗剤:水で薄めて潤滑性と冷却性を同時に得ようとする

これらの液体は一時的な潤滑や冷却の助けになるように見えますが、耐熱性や消泡性など切削専用の必須性能を備えてはいません。

代用品の使用で起こりうるリスク

専用の切削油ではなく代用品を使用した場合に生じる問題について、2つのリスクをみていきましょう。

代用品の性能不足による「工具や機械への影響」と、発火や腐敗などの「安全面のリスク」の2つの視点です。

潤滑・冷却性能の不足による工具や機械への影響

代用液体は専用の切削油に比べて潤滑性や冷却性が不足していることが多く、工具の摩耗や加工面の精度不良を引き起こす原因になります。

金属の切削時、刃先は高温・高圧です。

専用油以外の液体を利用すると潤滑膜が破れやすく、刃物と金属が直接擦れ合って「フランク摩耗(逃げ面摩耗)」や「溶着」に繋がります。

その結果生じるのは、以下のような影響です。

  • 工具の寿命低下:摩擦熱により刃先が急速に劣化し、刃こぼれや折損の原因になる
  • 加工精度の悪化:熱膨張によってワーク(加工物)の寸法が狂うほか、仕上げ面が荒れる
  • 機械本体の錆び:防錆剤が含まれていない水や洗剤を使用した場合、テーブルやガイド面に錆が発生する

特に水や食用油は防錆効果を持たないため、加工後数時間で工作機械や加工物が酸化して傷んでしまうことになります。

発火や腐敗などの安全面

代用品を使用する場合は、液体の種類や管理状態によって、発火や腐敗などの問題が起こる可能性があります。

切削油の代わりに使えるかどうかは、液体の種類だけでなく、加工条件や設備との適合性も踏まえて判断しなければなりません。

以下、簡単に表にまとめました。

代用品として考えられる液体 起こりうる問題
油性の液体 加工時の熱や火花によって発火する可能性
水や水溶性の液体 微生物の増殖によって腐敗や異臭が発生する可能性
洗剤など 成分によって金属や機械部品に影響する可能性

油性の液体は、種類や引火性、加工時の温度などによって発火のリスクが異なります。

単に「油だから切削油の代わりに使える」とは限りません。

また、水を含む液体や水溶性の液体は、管理状態によって微生物が増殖し、腐敗や異臭が発生することがあります。

そして腐敗した液体を使用し続けると、作業環境の悪化設備への影響につながる可能性もあります。

つまり、代用品の安全性は液体の種類だけでは判断できません。

切削加工を想定していない液体を使用する場合は、加工条件や設備との適合性を確認せずに使うことは避けましょう。

代用に頼ったために発生するトラブル

切削油の代用は一時的な対応のつもりでも、後から機械の故障や保証・メンテナンス上の問題につながる可能性があります。

ここでは代用品の使用によって起こりうるトラブルを、故障につながるケースと保証・メンテナンス対応に影響するケースに分けて解説します。

応急対応のつもりが本格的な故障につながる

切削油の代用は加工を止めないための応急対応だったとしても、結果的に工作機械や工具の故障につながってしまう可能性があります。

代用品に切削油の性能が備わっていなければ、加工時の負荷や熱を十分に抑えられず、工具の摩耗や機械部品への影響が生じます。

たとえば、代用品を使用した直後には問題が見られなくても、加工を続けるうちに工具の摩耗が進んだり、機械内部に異常が発生したりするケースなどです。

「少しの間だけなら大丈夫」と考えて代用した結果、修理や部品交換が必要になる可能性があるのです。

応急対応のつもりであっても、代用品が加工条件や設備に適しているとは限らないため、安易な代用品の使用はおすすめできません。

保証やメンテナンス対応外になる可能性

指定外の液体を使用したことで生じた不具合は、メーカー保証や定期メンテナンスの対象外となる場合が一般的です。

工作機械や補機類の多くは、メーカーが推奨する規定の切削油を使用することを前提に保証規約が組まれています。

そのため、指定以外の油剤や洗剤、水などを投入して故障させた場合、保証期間内であっても有償修理扱いになるのが基本です。

また、修理費用が全額自己負担になるだけでなく、メーカーサポートからの信頼を失う点も不利益のひとつと言えるでしょう。

切削油の代用に頼らず済む方法

加工現場で代用品のリスクを避けるには、そもそも切削油を切らさない管理体制の構築が必要です。

トラブルの根底にある「在庫切れ」を防ぐための基本的な考え方と、手作業によるミスを無くす「供給の自動化」という解決策について解説します。

在庫・供給管理を徹底する

切削油の代用を避けるには、在庫状況や使用量を把握し、切削油を切らさない管理体制を整える必要があります。

まずは、使用している切削油の種類や使用量、補充のタイミングを把握しましょう。

発注から納品までに時間がかかる場合は、納期も考慮して在庫を管理しなければなりません。

また、切削油の残量を定期的に確認し、在庫が少なくなった段階で補充するルールを決めておく方法もおすすめです。

担当者の経験や記憶だけに頼るのではなく、在庫量や使用量を記録しておくと、発注漏れや補充の遅れを防ぎやすくなります。

ただし、現場の業務が多忙を極めると、手動での在庫チェックや希釈作業にはどうしても限界が生じやすいでしょう。

供給管理を自動化する

切削油の管理不足を根本から解決する手段として効果的なのが、供給管理の自動化です。

希釈作業や補充を手作業で行う場合、担当者の負担が大きいだけでなく、薄め方のばらつきや補充忘れといった人為的ミスを完全に防ぐことはできません。

装置を導入して希釈と供給を自動化すれば、常に適切な濃度の切削油を安定してタンクへ補給し続けられます。

真岐興業株式会社では、現場の設備や運用に合わせて柔軟な組み合わせができる自動希釈装置を提供しています。

既製品をそのまま導入するのではなく、設備の状況や必要な仕様に応じてワンオフの対応を検討できる点も特徴です。

切削油の供給を自動化することで、液切れを防ぎやすくなるだけでなく、補充作業の負担軽減にもつながります。

なお、自社に合う自動希釈装置の具体的な選び方や特徴については、「自動希釈装置の失敗しない選び方〜3つのポイントでコストを削減」で詳しく解説しています。

切削油の代用を避け安全な加工環境を保つために

切削油の代わりに身近な液体を使用する行為は、工具の破損や機械の故障、さらには火災などの事故を引き起こす大きな原因です。

一時的なトラブル回避のつもりが、修理費用や稼働停止といった多大な損失を生み出しかねません。

本来の性能と安全性を確保するためにも、切削油の役割を理解し、代用品を安易に使わないようにしましょう。

現場での「うっかり切削油の液切れ」や管理の手間にお悩みの際は、真岐興業までお気軽にご相談ください。

設置環境やご要望に寄り添い、ワンオフでのカスタマイズ対応を含めた最適な自動化ソリューションをご提案します。

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