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2026.07.22

ダイカスト工程での油圧トリミングプレス活用と設備選びの手引き


ダイカスト鋳造(加熱して溶かした金属を型に流し込む工法)の現場では、製品が固まった後に「不要な部分の除去」という工程が必ず発生します。

この不要部分を効率よく、かつきれいに取り除くために欠かせない機械が「油圧トリミングプレス」です。

本記事では、油圧トリミングプレスの基本的な仕組みから手作業との違い、そして選定時のポイントまでをわかりやすく解説します。

油圧トリミングプレスの基礎知識

油圧トリミングプレスとは、液体に圧力をかけることで強い力を生み出し、ダイカスト品の余分な外周や穴を一気に切り落とす機械です。

ダイカスト工程の仕上げ段階で広く導入されており、生産性を高めるための中心的な役割を担っています。

まずは、不要部位が発生する理由やトリミングの仕組みを確認していきましょう。

ダイカスト品に不要部位が生じる理由

ダイカスト製品に不要部位が生じるのは、金属を金型内へ流し込む工程上、製品本体以外の流路や余剰部分が必要になるためです。

代表的な不要部位には以下があります。

  • ランナー:溶湯を金型内へ流す通路
  • オーバーフロー:ガスや不純物を逃がすための余剰部分
  • バリ:金型の合わせ面などに発生する薄い余分な金属

これらは鋳造時に必要な役割を果たしますが、完成品として出荷する際には不要となります。

そのまま残っていると寸法精度外観品質に影響するため、鋳造後に除去する工程が必要です。

オーバーフロー・ランナー・バリを一括除去する仕組み

油圧トリミングプレスは、専用の抜型を使用して不要部位を一括で打ち抜く設備です。

製品を抜型内の所定位置にセットし、油圧シリンダーの加圧力によって上型と下型を作動させると、ランナーやオーバーフロー、バリなどの不要部分が製品本体から分離されます。

手作業で不要部位を切断する方法と比べると、一定の条件で加工できる点が特徴です。

また、製品ごとに専用の抜型を設計することで、複雑な形状にも対応しやすくなります。

大量生産が求められるダイカスト工程では、品質の均一化と作業効率の向上に役立つ設備です。

手作業によるバリ取りとの工程比較

油圧トリミングプレスを使用した工程は、手作業によるバリ取りと比較して、処理スピードが圧倒的に速く、品質が均一になるというメリットがあります。

作業員が工具を持って手作業で行う場合、製品1つを処理するのに時間がかかり、人によって仕上がりにばらつきが出やすい点が課題でした。

以下は、それぞれの特徴を表にまとめたものです。

評価項目 手作業によるバリ取り 油圧トリミングプレス
処理スピード 1個あたりに時間がかかる 1回のプレス(数秒)で完了する
品質の安定性 作業員の熟練度によってばらつきが出る 機械が一定の力で抜くため常に均一
金型コスト 工具代のみで初期費用が安い 専用のトリミング型を作る初期費用が必要
対応可能な形状 複雑な細かい部分も柔軟に修正できる 直線や大まかな外周の一括処理に向く

つまり、初期費用はかかるものの、大量生産を行うダイカスト工程においては、油圧トリミングプレスを使用する方がトータルの生産効率を高められます。

ダイカスト現場におけるトリミング工程の課題

油圧トリミングプレスは非常に効率的な機械ですが、実際の製造現場ではいくつかの課題があります。

ここでは、具体的に3つの課題をみていきましょう。

製品形状の複雑化・大型化による工程負荷の増加

近年のダイカスト品、特に自動車部品などは軽量化のために形状が複雑になったり、複数の部品を一体化して大型化したりしており、これがトリミング工程の負荷を増やしています。

製品が大きくなると、それだけ外周の長さや打ち抜く面積が広がるため、プレス機にはより強い力(加圧力)が必要です。

また、複雑な形状の製品はバリやオーバーフローが発生する箇所も立体的になります。

まっすぐ上下にプレスするだけでは全ての不要部位を切り落とせないケースが出てくるため、斜め方向から刃を動かすスライド機構などを抜型に組み込まなければなりません。

結果として、機械本体の選定だけでなくプレスの仕組み自体が高度になり、現場の調整負担が大きくなってしまいます。

製品ごとに必要となる抜型のコスト構造

油圧トリミングプレスを運用する上での大きな課題は、製品の種類ごとに専用の抜型(トリミング型)を製作しなければならず、初期コストがかさむ点です。

この抜型は製品の輪郭や穴の形状に完璧に合わせた金属製の刃であるため、流用が利きません。

そのため、多品種少量生産(たくさんの種類を少しずつ作る生産方式)を行う工場では、製品の数だけ抜型を作る費用が発生します。

さらに、抜き加工を繰り返すうちに刃が摩耗して切れ味が落ちるため、定期的な研磨や部品交換といったメンテナンス費用も継続して必要です。

製品の生産数量に対して、この抜型コストが割に合うかを事前に慎重に計算する必要があります。

自動化設備との連携に求められる精度管理

トリミング工程を産業用ロボットなどと組み合わせて自動化する場合、製品をプレス機へ設置する際に極めて高い精度管理が必要です。

人が手作業で製品をプレス機にセットするときは、多少のズレを目視で修正しながら正しい位置に収められます。

しかし、ロボットによる自動搬送では機械的に位置を決めるため、ダイカストマシンから取り出した製品がわずかでも変形していたり、掴む位置がズレたりしていると、そのままプレス機に傾いて投入されてしまいます。

位置がズレた状態でプレスを作動させると、高価な抜型を破損させるだけでなく、製品そのものを潰してしまうトラブルに繋がります。

自動化を成功させるためには、製品の取り出しからプレス機への配置まで、常に一定の位置を保つためのセンサー検知や位置決め装置の整備が不可欠なのです。

油圧トリミングプレス導入時によくある課題

油圧トリミングプレスは品質の安定化や省人化に役立つ設備ですが、導入すれば必ず成果が得られるわけではありません。

製品形状や生産体制との適合性を十分に検討しないまま導入すると、期待した効果が得られないケースもあります。

ここで紹介する以下3つが、油圧トリミングプレス導入時によく見られる課題です。

金型仕様が製品形状に合わず方案分離が不完全になる

1つ目の課題は、抜型(トリミング型)の仕様が製品の形に合わず、不要な部分(方案)をきれいに切り離せないトラブルです。

製品に極端な肉厚の差や複雑な凹凸があると、プレスの圧力が均一にかかりません。

その結果、バリやランナーが製品に残ったり、製品自体が引っ張られて変形したりします。

これを防ぐには、製品の設計段階から「プレス機で抜きやすい形状か」を考慮することが大切です。

導入前に、抜型の刃の角度や圧力をかける位置を綿密にシミュレーションしておかなければなりません。

多品種少量対応を考慮せず金型費用が膨らむ

2つ目は、工場の生産スタイルに合わない設備を選び、金型費用が膨らんでしまうケースです。

毎日同じものを大量生産する現場なら、専用の抜型をゼロから作っても十分に元が取れます。

しかし、少しずつ違う種類を作る「多品種少量生産」の現場では、製品ごとに専用の抜型を作ると金型費用だけで赤字になりかねません。

こうした現場では、共通の土台(ダイセット)を使い、刃の部分だけを交換できる「カセット式」の金型システムを選ぶなどの工夫が必要です。

ロボット・搬送設備との連携が取れず自動化に組み込めない

3つ目の課題は、プレス機単体の性能だけで選んだ結果、前後のロボットやコンベアと連動できないケースです。

自動化ラインを作るには「ロボットによる製品のセットから搬出まで」をスムーズに繋ぐ必要があります。

しかし、制御システムが古かったり通信規格が合わなかったりすると、システムの改造に余計なコストがかかります。

また、プレス機の中にロボットの手(ハンド)が入るスペースがあるかどうかも重要です。

設備の導入前に、図面上で干渉が起きないかの確認は必ずしておきましょう。

油圧トリミングプレス選定時に確認したいポイント

工場の生産性を最大化するためには、自社の製造ラインに最も適した仕様の設備の見極めが肝心です。

カタログ上の標準的なスペックだけで機械を選んでしまうと、いざ現場に設置した際に加工不良が起きたり、既存の設備とうまく連携できなかったりするリスクが生じるためです。

では、失敗しない設備選定のためにチェックすべき3つのポイントを解説します。

製品サイズ・バリ形状に応じた加圧能力とストローク

油圧トリミングプレスを選定する際は、製品に適した加圧能力ストロークを確保できるかの確認が必要です。

加圧能力が不足すると、ランナーやオーバーフローを十分に分離できない可能性があります。

一方で、必要以上に大きな設備を導入すると、設備コストや設置スペースの面で非効率になる場合もあるでしょう。

また、同じダイカスト製品でも形状やサイズによって必要な仕様は異なります。

そのため、設備選定時には製品図面や生産条件をもとに検討するようにしてください。

真岐興業油圧トリミングプレスは、対象製品に合わせた仕様設計に対応しており、製品条件に応じた設備提案が可能です。

設備能力だけで判断するのではなく、実際の製品に適合するかという視点で選定することをおすすめします。

完全オーダーメイドによる金型製作とカスタマイズ対応力

多品種少量生産や特殊な形状を扱う現場では、既製品のプレス機をそのまま使うことが困難です。

そのため、金型(抜型)を含めて柔軟にカスタマイズできる設計思想が求められます。

後工程で手直しが必要になるケースが多いため、一般的な機械では、複雑な形状のバリを一度に落とせません。

そこで、製品の図面をもとに、抜き方向や刃の配置をゼロから設計できるメーカーを選ぶようにしましょう。

「完全オーダーメイド」の対応力があるかどうかが、油圧トリミングプレス選定の基準です。

さらに、金型を簡単に交換できる「カセット式」などの仕組みがあると現場の段取り替えがスムーズになり、導入後のコストパフォーマンスが高まるため、おすすめです。

ロボット連携・自動化を見据えた拡張性とサポート体制

人手不足への対策や生産性の向上には、自動化への対応が欠かせません。そのため、産業用ロボットや周辺の搬送設備とスムーズに連動できる拡張性が必要です。

プレス機が単体で優秀でも、外部のシステムと通信できなければライン全体の自動化は実現しないため、導入時にロボットの配置スペースや通信規格を合わせて設計することが求められます。

また、稼働後のサポート体制も確認しておきましょう。

位置ズレの調整やトラブル発生時に、迅速に対応してくれるメーカーであれば安心です。

弊社は、製造現場の具体的な課題に寄り添ったカスタマイズ提案を得意としており、導入から運用の安定化までをトータルで支える体制を整えています。

油圧トリミングプレスの選定と相談の進め方

本記事では、ダイカスト工程における油圧トリミングプレスの重要性や、導入・選定時における現場の課題について解説してきました。

不要なバリやランナーを一括で除去できる油圧トリミングプレスは、生産性と品質の安定化に大きく貢献する設備です。

しかし、その効果を最大限に引き出すためには、製品の形状に合わせた加圧能力の選定や、将来的な自動化を見据えた拡張性、そして何より柔軟なカスタマイズ対応力が欠かせません。

「自社の製品形状だと、どのくらいの加圧能力が必要なのか分からない」「現在のロボットラインに組み込めるか相談したい」といった疑問や課題をお持ちの方は、まずは専門の技術者に相談してみることをおすすめします。

真岐興業では、お客様の工場の生産スタイルや製品図面を踏まえ、最適な仕様の油圧トリミングプレスをご提案しています。

現状のトリミング工程に課題を感じている方は、ぜひ一度、お気軽に仕様選定のご相談やお見積もりをお問い合わせください。

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